「もっ、もうええやろ?」

充分洗ってもらった。


あたしには、長い地獄のような天国のような、どちらにせよ終わってほしくて、千尋に尋ねる。



「…うん。ご主人様がええなら。
洗い流すよ?」


「うん……」



シャーと、シャワーから流れてくるお湯で泡が流されていく。


それと同時に、少しだけあたしの緊張の糸もほぐれていった。




「はい、終わり!!
ほな、自分で身体拭く?」

「拭くよっ!」


そんなことまでされたら、たまったもんじゃないだろう。


背中を洗ってもらうだけで、死んでしまいそうなほど心臓バクバクなんだから、身体を拭かれたら、多分死ぬ。



てか、絶対死ぬ!



「なら、上せんうちに上がってきてな」


「わかったっ」



前屈みになって、千尋がいなくなるのを必死に待っていた。



暫くすると、パタンと音がして人の気配がなくなったから千尋がいなくなったんだろう。



ホッと身体の力を抜いた。



あたし、いったいどうしたんだろう。


このドキドキは正常じゃないよ。