「千尋って、子供が好きなんやね?」


大きな手で、小さな衣装を作っていく。


ホントに起用だよね。



「好きになったんは、ベビーシッターするようになってからやな」


「ベビーシッター?」


「家政夫が主にやけど、たまにやってたんや。

最初は、ガキの扱いがわからんくて苛々したけど

こっちが頑張ったぶん、あいつらは喜んで応えてくれる。

それがわかってからは、好んでベビーシッターもするようになった」


ズレた眼鏡を元に戻しながら、昔を思い出す千尋。


千尋がベビーシッターか。


「なら、子供出来ても、千尋がおったら安心やね!」


「――え」


ん?


ピタリと動きを止めた。


うつ向いたかと思うと、背後のソファーに座っているあたしを、振り返り見上げてくる。



キュン。

千尋の上目使いって、普段は男前なのに、可愛く見えてドキッてなる。



「ど、どないしたん?」


「それって、俺の子供産んでくれるってことなんか?」


「へ?」


あ、危ない。


持っていたカップを落とすとこだった。