彼女として、あたしは千尋に何が出来るんだろう。


いっぱい考えて、実行してみたけど


「あかん!」

「俺がやる!」


ことごとく却下されてしまった。



千尋も平日は、保育士として働いていて

二人共休みは、週に二回。

でも、千尋は家に帰って来てからも仕事をしているから

どちらかと言えば、あたしの方が休みが多いのに。



何かしてあげたい。


千尋のために

千尋の負担になりたくないから。



だけど、何もないんだよね。



完璧すぎる彼氏をもつと、彼女も大変なんだと思い知った。













「千尋〜、何しとん?」


昼食を片付け終わった後、千尋は絨毯の上に座り何やら作業中だった。


コーヒーをいれて、テーブルに置いて覗いてみる。



「ん? これな、そろそろ雛祭りやから、子供らの衣装作り」


「衣装?」


「そう。
可愛いやろ、お雛様とかの衣装着せたら」


子供たちに衣装を着せた時を想像したのか

千尋は、とびっきりの笑顔を浮かべた。


その笑顔を見たら、あたしまで笑顔になる。