料理は駄目。
掃除も駄目。
洗濯してみた時も、これじゃ駄目だと注意された。
だったら、あたしには何も出来ないわけか?
かなり、落ち込む。
あたしは、女なのに……。
男の千尋ばかりに、全てやらせてるなんて
なんか、それじゃ駄目な気がする。
バルコニーから帰ってきた千尋は、ふてくされたあたしの元にやってくる。
「どないした?」
「……なんもない」
プイッと、顔を背ける。
このままじゃ、絶対に良くない。
良くないと思うのに、何も出来ない。
千尋の方が、知識もあって手際がいいから
あたしじゃあ、はが立たないし、あたしがやるより千尋がやったほうが効率がいいんだよね。
情けないけど、これが現実だ。
「あ〜、情けない……」
リビングに行ってしまった千尋に聞こえないよう
小さく、ため息をついた。