もしかして、あたしたちの事を言ってる?


てか、目の前にいるのは千尋とあたしだけだから、それしかないよね。



夫婦に、見えるんだ。


そう思うと、顔が熱ってきた。



「ふっ。ええやろ?
可愛い嫁やけど、料理できひんねんで」


グイッと肩を抱き寄せられた。


え?


な、なになに?



千尋?



「熱いなぁ。
今時は、男が主夫ってのが流行りらしいで!

うちんとこは、デブでハゲのグータラ親父やから、あかんけどなぁ」



「ラブラブやから!

俺が主夫で、こいつが仕事に出てんねんけど、何かカッコ悪ぅない?」



千尋とおばちゃんは、何故か世間話を始めた。


まるで、主婦の井戸端会議?


「にぃちゃんなら、カッコ悪くないわぁ!

あたしの旦那も、にぃちゃんくらい男前やったらなぁ」


おばちゃんも慣れているのか、レビを打ちながら会話を弾ませる。



いつの間にか、あたしは夫婦設定になっていて、あたしは会話を聞いていることしか出来ない。


てか、夫婦って……。




「お姉ちゃんも、ええ旦那捕まえたな。
仲良くせなあかんよ!」