買い物時の時間が過ぎていたからか、レジに並ぶ人はまばらだ。


会社帰りのサラリーマンや、あたしと同じような若い女の子なんかがいるだけで、キョロキョロ周りを見渡しても男女でいる人はいない。



なんか、優越感に浸る。


だって、千尋みたいなカッコイイ男の子と仲良く買い物してるのって、カップルっぽくて良くない?


何か、憧れていたんだ。


彼氏と買い物して、一緒に家に帰ってご飯を作るのとか。


この場合、普通は女のあたしが食事の支度をするんだけど、今は違う。



買い物から家路までは一緒で、食事の支度は千尋がやってくれるんだよね。


んー、楽だけど、それでいいのか?


男に料理させている女って、どうなんだろう。




「あら、ええねぇ。
夫婦揃って買い物なんて、仲ええんやねぇ」


レジの前に立つと、50代くらいのおばちゃんが、あたしたちにニコニコ笑顔を向けていた。


関西特有の人なっつこさで、おばちゃんは話しかけてくる。



「ふ…夫婦?」


「まだ、若いのになぁ。
ええなぁ、微笑ましいわぁ。
しかも、えらいベッピンな旦那さんやんか」