目の前に千尋が立った。


ドキドキ――。


おかしいな。


何で、あたしが緊張しなきゃいけないの。


何で、あたしがこんなにおどおどしてるの。



千尋を攻めていたはずなのに、何故か攻められているような気がした。



見上げたら、やっぱり睨まれている。



でも、


冷たい眼差しとは、



違う?















「……何で、信用せんのや」


顔を横に向けて、小さい息を吐いた。


信用……。



「……してたもん」



あたしは、千尋は違うって信じてた。



先輩とは違う。


あたしを騙したりしないって………。



「信じてたのにっ。
信じてたのに……、千尋が」


「女と会ってたら、俺が裏切ったことになるんか?」

「ちがっ――」


そうじゃないよ……。


そりゃ、女の人と仲良くしてる姿なんて見たくない。

だけど、それで千尋を縛るつもりはない。



「確かに、欄に言わんと会ってた。
やけど、相手は客や―」


グッと拳を握った。



「お客さんなら……、一緒にホテルに行くん?」