「寒いなぁ〜」

田舎は寒い。


寒いのに、あたしは何をしているんだろう。


縁側で、雪の降りそうな空を見上げているなんて。



「欄っ、寒いやろ!!」


お母さんに怒られてしまった。


仕方ないから、ヨロヨロと立ち上がり戸を閉めてコタツに戻る。



実家に帰って来てから、ずっとボーッとしている。


寝巻きのまま、お母さんのドデかい上着をはおった姿は、もう女を捨てているな。



まぁ、いいけど。


家族しか見ていない。


あたしが気をつかう相手は、もういないんだから。


綺麗だと、可愛いと言ってもらいたい人がいないんだから…………。




実家に帰って来てすぐ、何を思ったか、あたしは千尋に手紙を書いた。


どうしてか、書きたくなった。



伝えたいことがあったの。


いっぱい、いっぱいあったの。



あんなに、もう千尋とは関わらないと決めたのにね。

あたしって、案外女々しいんだとわかった。