クリスマスまで、後6日。


「ごめん、今日は直ぐに帰る」


「珍しいこともあるもんやね?
雨、降るんちゃうん」


おいおい、皐月さんよ、あたしが仕事終わりに早く帰宅するからって雨が降るまで言わなくてもいいだろ。


「降らへんから。
じゃあ、そーいうことで!」


「はーい、また明日!」



会社の駐車場で皐月と別れて、早々と車を走らせる。


一人暮らしのあたしは、ほぼ毎日皐月と食事して帰るか、買い物に付き合ってもらっていたけど、今日からはちょっと違う生活になる。



昨日から家にやってきた、メイド君がいるからだ。




「お待たせ!」


「お仕事、お疲れさま」


近所のスーパーの駐車場。


スーパーには似つかわしくない、綺麗な顔立ちの芸能人かモデルかを思わせる男性が、あたしを待っていた。


彼、千尋が昨日からクリスマスまで、あたしのメイド君になるわけだ。



懸賞で当たったもんだから、全て無料なんだけど。



「食費は、あたし持ちなんやね」


「でも、家事は一切しなくてええから、楽でしょう?」