だけど、麻子は少し違ってた。


麻子が仕事で潰れそうになった時、俺は支えたいと思いがむしゃらに働いた。


その時言われたんだ。



『千尋がいたから、ここまで頑張れた。
ありがとう』


その言葉が、疲れきっていた俺を癒してくれたと同時に、見た目でしか判断されなかったこれまでを変えてくれたような気がしたんだ。


正直、嬉しかった。


だから、今では麻子のパートナーとして、これからも麻子を支えたいと思ってる。



そう……確かに、そう思ってた。



だけど、どうしてか最近その固く決意したはずの想いが揺らぎ始めた。














「それでな、あの客のことやけど―」


あの客、欄のことか。


「はい、これ」


「なんや?」


「見ればわかるでしょ。
手紙よ手紙。
千尋に渡して下さいって、今日郵送されて来たのよ」


今日? 郵送?



―バンッ!


身体が震い立ち、ヒラヒラさせていた手紙を奪い取った。



「早よ言えや! あほっ!」


「酷い言いようね……」



手紙を奪い取ると、急いで中身を取り出す。