「なんなら、あたしが特別にサービスしてあげようか?」


クスクスと笑う麻子を見上げる。


「俺のサービスの方が上やろ。
まぁ、麻子のも気持ちええけどな」


俺の傍らに座り、細い手が太もも辺りに触れる。


俺を誘うかのような淫媚な視線を送ってくる麻子。



「―はぁ、離れろや」


「あら、冷たいわね?」


麻子の身体を押し退けて、身体を端へとズラすと、麻子は、フンと鼻で笑い元の席に戻った。




冷たいもなにもない。


俺と麻子には、もう恋人同士の関係はないんだから。


「ええ加減にせぇ。
からかわれる、覚えはないわ」


俺をふったのは麻子のくせに……。


それでも、麻子をほってはおけなかったから今でも側にいる。


「だって、疲れてそうだから癒してあげたいと思うじゃない?
千尋は、見た目がええから」



「……ホンマ、うざいな」


見た目がいい。


俺には誉め言葉には聞こえない。


今まで付き合ってきた女全員が、俺の見た目だった。


心から求めて来た女は、いなかった。