うちの社長は若い。


俺より五歳上で、一年前にこのサービス会社を立ち上げた。


相沢 麻子―俺の昔の女。


付き合い始めた時には、既に会社を作りたいと話は聞いていた。


若いし金もなかった俺には、何もできなかったから、だから麻子のためにと色んな資格をとり、今もこうして手伝ってる。


昔から人当たりがいいおかげで、俺には沢山の客がついた。


最初の頃は、なかなか経営も上手くいかず麻子も相当苦しんでいたから、だから俺は自分の見た目を利用して、家政婦以外の仕事も請け負うようにした。



サービスを求める客が多かったから。



「それにしても、千尋、最近疲れてんのちゃう?」



麻子が社長椅子から退き、俺の側に寄る。


長く伸びた前髪を白い手ですくい上げると、麻子は俺の顔を覗き込んだ。



「疲れてる……かもしれんなぁ」



最近、さらに仕事がハードだった。


欄専属になるわけにもいかず、欄には悪いとは思ったけど専属になったフリだけして、別の客のとこにも行ってたから。


気疲れか……。