千尋は、ホストなんじゃないかって……。


嘘だと思いたいけど、そうだと考えると繋がるんだ、違和感もなく。



女に対して優しすぎる態度。


あたしを甘やかす仕草。


上手いんだ。


女の扱いが。



メイド=家政婦とかなら、あんなに上手いはずないよ。



次々に思い当たるものが結びつき、あたしは、まだ真実を知ったわけでもないのに泣きそうになっていた。


苦しかった。


あたしの考えが事実だとしたら、千尋はあたしに嘘をついている事になるんだ。


サービス業の掛け持ちなのかな?


仕事にとやかく言ったら駄目かもしれない。



だけど、嫌だよ……。



彼氏が……、千尋がホストだなんて考えてだけで嫌だった。


あたし以外の女に優しくする千尋なんて、見たくない、知りたくない。





「待ったぁ!? 千尋君!」


「ええ。
でも、貴方を待つのは苦にはならへんからね」



千尋にかけよる若い女。


あたしより年上に見えた。


「明里さんとデート出来るんや、俺は世界で一番の幸せもんでしょう?」


「もう! 上手いんやから!」