駅の前には、待ち合わせ場所の目印に出来そうな噴水がある。



千尋はそこに立ち、何度も時計を見ては時間を気にしているようだった。



あたしは、駅の柱に身を隠し千尋を観察している。



心臓がバクバクなってる。


これは見ていていい光景なのか、今のあたしには判断つかない。


多分、このままいたら嫌でも現実にぶつかることになるだろう。



その現実は、きっと、あたしが喜ぶものじゃない。


あんなにお洒落をした千尋が、あたしに内緒で待ち合わせなんて、絶対に相手は女だ。



何となく見えてきた。




デートした時に偶然会ったおばさんを、千尋は丁寧に扱った。


そして、何のか聞いても言いにくそうにして、話をそらされた。



それらを考えてみると、ある一つのことが頭に浮かぶ。