千尋を信じて待つことにして、元来た道を戻ろうとした時、トイレから千尋が出て来た。


あ、千尋だ………。





「……………え?」


なにあれ?

千尋を見て驚いた。



トイレに入る前までは、いつも通りのラフな普段着だったのに―。

















黒髪の前髪を立たせて、普段つけていないアクセサリーなどが見える。

ビシッとスーツを着込んだ千尋が、そこにはいた。




大きな鞄をロッカーにしまい、千尋じゃないような千尋が駅を出て行った。




どういうこと?


なんで、スーツ。


営業にしては、チャラけすぎてるよ。



家に帰ろうとしたいた足が、やっぱり千尋を追うことにしたらしい。



無意識だった。



頭の中が、真っ白になりそうだったから。