「そもそも、俺は女の子ちゃうからね?」


その想像は、間違いだらけだと指摘してくる千尋。


「あたし、声に出してた?」


「ばっちし!」


グッと親指を立て、ニカッと笑う。


思わず惹かれてしまう、その笑顔。


駄目駄目!


あたし、何を考えてる?

見惚れるとか、ときめくとか……そんな、恋をした乙女みたいなこと言っててどうすんのよ。



あたしは、振られたばっかでしょうが。





「でも、可愛かったなぁ。
甘えてくる欄さん、俺少しマジになりかけたし」


「……またまたぁ」


「嘘ちゃうよ」


だから、止めてくれ。


甘いマスクで、妖しく笑うのは。


千尋は自分の容姿を上手く使い分ける。


きっと、わかっているんだ。


どれだけ、自分が女の子を魅了する容姿の持ち主なのかを、だから、メイドなんてやるんだろうし。


男でも女でも、不細工がメイドじゃ気分のらないしね。



「この一週間は、欄さんに尽くすよ。

家事も全部俺がするし、欄さんが命令したことは逆らわない」