急変した千尋に困惑してしまう。


額を押さえて考える。


千尋は、いったいどうしてこんな態度をとるんだろうか?



わからず、千尋を仰ぎ見る。


ふわりと優しい笑顔にホッとした。



「…千尋」


「なんでしょうか?」


「あたしのこと…好き?」


もしかしたら、千尋には千尋の考えがあるのかもしれない。


だから、ここで身勝手に怒るのは違う。


あたしは、千尋を信じるって決めたんだもん。



「…好きですよ」

「ホンマに? 絶対?」

「はい、ご主人様は何よりも大切な存在にございます」



丁寧な言い方だから、言われ慣れてないあたしには複雑だった。


だけど、好きって言ってくれたし。


何よりも大切な存在とも言ってくれたから。


ギュッと手を握り、あたしは小さく頷いた。


うん……大丈夫だよ。



千尋は、千尋だから。



「…欄」


ピクリと反応したあたしに、千尋はクスクス笑っていた。


口元を押さえて、ニヤリッと微笑む千尋に、あたしは唖然とする。