「ご主人様、おはようございます」


-バサッ!


寝ぼけ眼で起き上がると、正装した千尋に言われた言葉に目が覚めた。



なんだ、なんだなんだ!?


「朝食の支度が出来上がってますが、食べられますか?」



あれ、あれれ?


おかしい。


千尋が変だ。



最初の頃にしか言ってなかった『ご主人様』なんて呼び方。


そして、最近は使わなくなった敬語。



そのどちらも使う千尋に違和感がありありだ。


あたしの視線にも臆すことなく、ニコニコ笑っている千尋。





「千尋…なんの真似なん?」


「真似…と言いますと?」


「それ止めてや。
急になんなん?」


昨日までは、普段通りの千尋だったのに……。



「ご主人様はお忘れのようやけど、俺はメイドですよ?
ご主人に敬意を尽くすのが、俺の仕事です」



ベッドの横で立ち、手を前に揃えて綺麗に微笑んだ千尋。


メイドって……。



「なんで……千尋は彼氏…やないの?」


「…ご主人様のおおせのままに致しますよ」


意味がわからない。