千尋は、妖しくニヤリッと笑みを浮かべていた。



年齢を聞いたら、あたしと同じ年齢だと聞いた。


それにしては、まだあどけなさがあって青年というより大きな少年って感じだったけど、今みたいにニヤリッと笑うとやけに色っぽい。


男に対して、色っぽいと言っていいのかって思うけど。



なんか、エロいんだもん。


「で、何がでしょうか?」

赤くなる顔を隠しながら、あたしはニヤニヤ笑う千尋をチラッと見た。


さらに、瞳を細めた千尋が何を言い出すかと思うと、心臓が慌ただしくなる。

















「俺ね、初対面の女の子に『抱いて』って、言われたん初めてやった」

「ブーッ!!」


飲みかけだったコーヒーを吐き出してしまった。


それが、真正面にいた千尋に被ろうがお構いなしに、あたしは千尋に叫ぶ。



「だっ、だだだだだだだだだだ!」


「まずは、落ち着いて」


素早くハンカチで顔を拭いている千尋と違い、あたしは落ち着いていられるはずがない。


「あたしが、そんな破廉恥な事を言ったの?」