ドキドキと煩い。

クチュと煩い。


恥ずかしい。

嬉しい。

気持ちいい。




もう、キスだけで千尋がいっぱいになっていく。



先輩の時には、ただただ必死だった。


嫌われないように。


はじめてなのに、沢山気をつかった。


散々なセックスだった。


やっている最中に、あたしは愛しいと思っていたのかな?


嫌われたくないと必死だったことしか記憶にない。



「震えてる…大丈夫か?」

「あっ……ち…ひろ」



唇が離れて、震えていたあたしの腕をあやすように何度も撫でてくれる。


大丈夫、大丈夫。


千尋なら大丈夫。


あたしを、大切にしてくれるもん。



「欄……あんな男のことは忘れろ。
あいつが、欄にとって初めての男やない。
俺だけを、俺を覚えとけや…」


「……うん」



みすかされていたのかな?


あたしが先輩を思い出してるって。


ちょっとトラウマになりつつあったのを、千尋は知ってたからかな?



だから、千尋だけを記憶に残せなんて言うのかな。


これは、千尋の優しさだったのかもしれない……。