「千尋の全部が好きやもんっ……」


ホントに好き。


千尋の側にいたいの。



「千尋が大好き」



開いた瞳の中に、真っ赤になったあたしがうつっていた。


この気持ちに嘘偽りなんてないから。


どうか、あたしの気持ちを受け止めてほしい。




「……欄」


白く大きな手が、ゆっくりと伸びてくる。


低いけど優しく響く声で、何度も名前を呼ばれた。



「欄…欄…欄っ」



抱きしめてくれる。


暖かくて、嬉しい。


いつも近くにいても、ベッドが同じでも、あたしに触れることのなかった千尋があたしに触れてくれる。



「千尋っ!」


名前を呼んだら、さらにギュッと抱きしめてくれた。


少し浮かせた身体。


お互いの視線が絡み合う。


「…欄」

「………うん」



熱い視線で千尋が言いたいことがわかった。


あたしは、極自然なことのように瞳を閉じて、その瞬間を待つ。



息が鼻先に触れて、ビクついた瞬間。
次に訪れたのは、熱いキスだった。



「……ん」


軽く触れるだけのキス。

それだけで、あたしの身体は熱い。