あたしは、ちゃんと気持ちを伝えないといけない。


まだ言ってなかったことに、今更気づいてどうする。


「どないしたん?」

「あたしな……」




意外なほど落ち着いていた。


初めての告白なのに、冷静な自分に驚くよね。


人間いざとなると、どうにでもなるのかも……。






心配そうに見つめてくる千尋の手をギュッと握りしめた。


え? と、千尋の目が泳ぐ。



「好き」


たった一言だ。


頭の中では、千尋に言いたいことがいっぱいあった。


だけど出てきた言葉は。



「千尋が、好きやねん」



言えた。


好きって言えた。



もう言えただけで、満足だった。