「欄は、遊ばれたいんか?こんなこと男の前でやったらあかんやろ……」


「ちがっ…」


あたしは遊ばれたくない。

だけど、これってそう言うことかもしれない。


遊ばれたいわけではないけど、千尋なら。


「千尋なら……いいと思ったー」



本音は、抱かれてもいい。

千尋なら全てをあげてもいいほど、あたしは千尋に溺れていたから。



顔の横にある拳が、バンッと音を立てた。













「俺はー…そんな女は抱きたくない」



頭から大量の水をかけられたみたいだ。


身体中冷えて、心にまでやってくる悲しみ。



「あたしは…興味ない?」

かろうじで聞けた。


顔を起こした千尋は、ポーカーフェイスで何を考えているのか読み取れない。


元から人の気持ちなんて、上手く読み取れるような起用な人間でもないのだけれど……。




「…………あらへん」


「そっ…かぁ。
あはは、ごめんなぁ…」



謝る事で、冗談だよと思ってくれたかな?


冗談じゃないけど、これが本気だと思われたら、あたしと千尋はどうなるかわからなくて。


恐ろしい……………。