『掃除をする時は上からが鉄則や!」


とか言って、天井から順に埃を落としてホント隅々まで掃除するんだよね。


だから、あたしの掃除の仕方を見た時の千尋ときたら、そりゃもう面白かった。


せっかくのイケメンが台無しになるくらい、ガバッと口を開き眉間に皺を寄せたりして。
ホント、変な顔だったよ。


それを笑ったからか、それともそれ以前の問題なのか、こうして手伝おうとしても断われてしまう。



ひつこく迫ってみたら、素晴らしくカッコイイ笑顔で『おとなしくしとってね』と言いきかされてしまった。



トホホである。


それにしてもやることがない。


掃除を終らせて、次にキッチンで何やらやりだした千尋を見つめながら熱い息を吐いた。



はぁ、やっぱりカッコイイ。



ある意味あたしは幸せ者だと思った。


家のことは一切やらなくていいし、いつもタイプの千尋が側にいる。


仕事をして疲れて帰ってきたら『おかえり』と、千尋が玄関で迎えてくれる。


それってさ恋人を通りこして、まるで家族みたいで嬉しかった。