人差し指を立てて、顔を寄せてきた。


いったい何を言うつもりなのか、あたしの心臓が騒がしい。

















「男として、役立たず……かやね!」


バーンって威張って言うけど、その意味がわかりません。


はて? と、心の中で首をかしげてしまう。



「あんたそれでも、経験者なん?
それとも、わざとなん?」

「何がよ?」


「いや、もういいわ。
あんたが、うぶなんはようわかった」



あちゃ、また興味をなくしたようだ。


皐月ってホント、もったいぶるんが好きだね。



「意味が知りたいなら、本人に聞いてみたら?
なんか、展開があるかもよ?」


「展開かぁ…」


そろそろ何か展開がほしかったとこだった。


仕事としてではなくて、一人の女として見てもらうには、どうしたらいいか。


皐月のいうとおり、聞いてみたら何か変わるの?


あたしは、雑誌をギュッと抱きしめながら千尋のことを思い浮かべた。


今頃、買い物でも行ってるのかな。
それとも、洗濯?


大きな千尋が主婦化している姿は、結構面白かった。