【菫の実習日誌】
朝の職員朝会で、いつものように先生の横に座っていた私。
会議は滞りなく進行していく。
司会の先生が、生徒指導部長にマイクを渡す。
マイクを渡されてすぐに発せられた言葉は。
「え~、ここから先は生徒指導上の機密事項になりますので、実習生は控え室で待機してください」
何のことだろう?
首をかしげた私に、先生がこっそり囁いた。
「何かやらかした生徒がいるけど、実習生には聞かせられないんだ」
久しぶりに聞いた、先生の『素』の状態の口調に、ちょっぴりほっとした。
実習生がぞろぞろと職員室を出て、すぐ隣の会議室へ移動する。
「あ、俺、聞いちゃったんだ。
3年生の男子が、パチンコ屋にいたところを捕まったらしい。
生徒が言ってた。多分それで停学とか、そんな話だと思う」
渡辺君がこっそりみんなに話しかける。
なるほど。それで私たちは職員室から出されちゃったのね。