「松本先生は将来管理職を目指していると、前任の校長先生から伺っています。
……はっきり申し上げましょう。義務教育と違って、高校の管理職は大変狭き門です」
「はい」
そうだろう。まず、学校数が全く違う。
つまり、校長・教頭の数も少なくて済む。
だが、一校につき生徒数が多いから、教員数はその割に多い。
受験倍率が高く、厳しいという事は知っていた。
「普通に管理職を目指しても、なかなか受かりません。
特に、教科のバランスも考えて採用されるので、社会科はますます難しいです。
そこで提案なのですが……もう一度、研修へ行ってみませんか?」
また研修!?
「特色ある教員という位置づけで、他の受験者よりも優位に立つ方法があるのです。
それには、ちょっと長い期間研修へ行ってもらわなくてはなりませんが」
長期の研修、ということは、少なくとも1年以上か……。
「どちらで行われる研修ですか?」
校長先生と教頭先生が顔を見合わせた。
どっか、とんでもないところに飛ばされるのだろうか……。
校長先生が、テーブルの上に資料を並べた。
そこには「REX」の文字が大きく載っている。
「REX」って、もしかして、あれか!?