裕香の件でも、あちこち巻き込みながら助けてもらったし……。
私にとっても、先生は大事な人だから。
いつまでも私が怒ってることを気にしていたら、可哀想かも。
きっと今は部活指導の真っ最中だと思うから、後で電話しよう。
うん。
せっかく2週間、同じ学校で先生と過ごせるんだもん、怒っていたらもったいないよね!?
私達の微妙な空気を、生徒も敏感に感じとるかも知れないし。
だから、裕香も余計に苦労しているんだと思う。
生徒は、若くて話のわかる実習生とすぐに打ち解けてくれる。
自分が中学・高校の時だって、実習生が来るクラスが羨ましかったもん。
だけど、実習生はしょせん2週間しかいられない存在。
もし、担任と実習生の仲が悪かったら、損得勘定から担任側に付く生徒が多くなるに決まってる。
……裕香、ごめんね。
裕香が一番辛かった時、私は何もしてあげられなかったよ。
どうか、裕香が指導案を無事に書き上げられますように。
お互い、研究授業がうまくいきますように。
私はまた、指導案をプリントアウトして、授業の展開について細かく書き込む作業に専念した。