昼休みに俺は3年の教室に向かった。

ハァー、緊張するなあ。

教室から顔を覗かせ、近くにいた女子に声を掛ける。

「あの、すいません…」

「え? あら、桂木君? なあに?」

「柏尾先輩はいますか?」

「郁美? 郁美とは別れたんでしょ? というか、郁美を捨てたんだよね? なのに、今更何の用よ?」

「ちょっと話したい事があって…」

「そう…、ちょっと待っててね」

うわあ、ビビった…
今の先輩は、きっと郁美の友達だな。ひっぱたかれるかと思ったよ…

いや、ダメだぞ、桂木琢磨。あれぐらいでビビってちゃ。今始まったばかりじゃないか。気合い入れろ気合いを。

早くしないと、圭介に紬を取られちまうぞ!

俺はそうやって、自分を奮い立たせた。