子猫は寂しいのか、お腹が空いているのか、私にはよく分からないけど、小刻みに震えながら時々「ミー」と、悲しげに鳴いていた。

こんな可愛いのに、捨てられたのだろうか…

捨てた人への怒りを覚えながら、そっと子猫のお腹に手を差し込んだ時だった。

右肩に重みを感じたと思ったら、耳の傍で「可愛いなあ」という男の人の声がした。

びっくりして振り向くと、すぐ目の前に男の子の顔があった。

その男の子の目はとび色で、綺麗に澄んでいた。私を見つめるその目に、魂が吸い込まれそうな気がした。

どのくらいそうしていたかは分からないけど、その男の子が女たらしの桂木琢磨で、肩に感じた重みが桂木君の手という事に気付いた私は、咄嗟に桂木君を突き放していた。