「くそっ。プロポーズの言葉まで考えていた自分がバカみたいだ」





さすがの僕もここまで待たされれば、腹が立つ。





「直接あいつの所に行って、文句を言ってやる」






僕は叩きつけた花束を拾い上げ、前の交差点を渡り、景子の元に向かうことにした。















交差点を渡って右に曲がった所に、電信柱がある。











電信柱の根元にはたくさんの花とお供え物が置かれていた。







去年僕が置いた薔薇の花束は枯れていた。







僕は電信柱の前に立って、怒りをぶちまけた。






「おい、景子。いつまで寝てんだよ。今年も花火大会に行けなかったじゃないか。どれだけ待たせるつもりだ。良いものやるって言ったけど、あれは無しだ。来年までお預けだからな」





そう言って、薔薇の花束を置いて、僕は立ち去った。