コンビニの前で待っていると、多くのカップルが僕の前を横切っていく。




カップルのほとんどは僕と同じように浴衣を身に纏い、その顔はとても晴れやかだ。





僕がコンビニにたどり着いた時は、まばらだった交通量も、次第に増えて、人の波が出来ていた。




やはりここらで一番でかい花火大会なだけに、遠方から見に来る人も多い。





「ねぇ、見て見て。あの人花なんか持ってるよ。あんなの花火見る時絶対邪魔だよね」




不意にそんな声が聞こえた。




辺りを見回しても、花を持っているのは僕しかいなかった。




少し気恥ずかしくなって、うつむいてアイスに群がる蟻を観察しながら、景子が来るのを待った。