世界を敵にまわしても



「おい、何やってんだよお前らー」


傍に居た晴がそう言うと、「わざとじゃないし!」と1番派手な子が反論する。


確か、菊池さん。


黒沢さんに負けず劣らず濃い化粧と金髪の巻き髪だけど、黒沢さんとは似ても似つかない。


「ゴメ~ン、大丈夫?」

「てか今日来てたんだー」


……何がしたいんだろ、あの人たち。


顔を上げた黒沢さんは、菊池さんを含むAランクの女子を一瞬だけ見遣っただけで、席に戻っていく。


「は? 謝ったのにシカトかよ!」

「コワーい」

「何で返事しないの? 謎じゃねー?」


わざとぶつかったあんた等の方が謎だけどね。


ミキ達の所へ戻るとやっぱり菊池さん達の方を見ていて、話題は黒沢さんの話だった。


「返事しときゃいいのに、逆効果だって分かんないのかね?」

「ちょっとー、何見てんのアンタ等ぁ」


椅子に座った瞬間、菊池さんがミキ達に声を掛ける。


3人の顔が引きつったのを見た時、あたしの頭の中はどうすれば顔が引きつるんだろうという疑問でいっぱいだった。


「や、音したから何かと思ってー」


サトミが少し大きめな声で言うと、菊池さんは「あぁ」とめんどくさそうに首を捻る。


「黒沢さんにぶつかったから謝ったのにー。シカトされてさー」

「見てた見てた」


ユイがそう言うと菊池さんは口の端を上げて、周りの女子も同じようにしていた。