世界を敵にまわしても



「宮本? どうした?」

「あ、部の壊れたっぽくて。CDラジカセ借りに……」

「あぁ、いいよ。ちょっと待って」


朝霧先生が腰を上げると、宮本くんは不自然に視線を逸らしながら準備室に入ってくる。


あたしの大声……聞こえたんだろうか。気まずすぎる……。


「うおっ!」


あたしの隣まで来た宮本くんの大きい声に、肩が跳ねる。


見ると、宮本くんの視線の先にはクッキーがあった。


「何これ何これ、うまそう! 食って……いい?」

「えっ」

何であたしに聞く!


バッチリと合った視線を逸らすにも逸らせないでいると、朝霧先生が「あー」と気付いたように言う。


「宮本甘党だっけ? いいよ、食べても」

「マジで! え、でもこれ……高城がくれたとかじゃ」

「あげてないから!」


思わず口をついた言葉に宮本くんは少し驚いてから、くしゃっとした笑顔を見せた。


「なら遠慮しないでもらおー」

「はい、ラジカセ。壊すなよ」

「おー! サンキュー奏ちゃんっ」

「……その呼び方もやめてくれ」


かなでって……あぁ、先生の名前か。


「別にいいじゃん、な! 高城」

「え……」

「良くないって言いなさい」


正直どうでもいい。