世界を敵にまわしても



「俺ともう一度、恋をしてくれる?」


……当たり前だよ、先生。


あたしはずっと、先生と離れてる間そう願ってた。


華が咲いたみたいに心の奥から嬉しさが拡がる。


滲み出る、零れる。


嬉しさも、幸せも、好きだという想いも。


「先生としか恋しないよ」


そう微笑んで言えば、先生も満面の笑顔をくれた。


「わ!?」


強く手を引かれて、あたしは先生の肩に手をつく。


倒れないようにそうしたはずなのに、先生が「あ」と呟いてあたしの手を握ったままグラリと揺れた。


――ガタガタッと大きな音と、床に倒れた衝撃。


あたしと先生は俊敏に起き上がり、倒れた椅子を2人で立て直す。その手際の良さと言ったら。


「ははっ! 俺ら焦り過ぎ!」

「だって! 意外に大きい音したから……っ!」

「くくっ……まさか倒れるとは思わなかったな」

「先生、筋肉つけた方がいいよ」


一瞬の出来事に焦って、静かな音楽室に安堵の溜め息を漏らす。


だけど顔を見合わせると可笑しくなって、2人床に座ったまま笑い合った。




――きっと、いつまでも消えることのないメロディー。


笑って、怒って、泣いて。最後には愛を囁いて。


2人一緒なら、きっと幾重にも重なるメロディーを。


永遠に、奏でていよう。



世界を敵にまわしても、ね?




【END】