……校庭から、野球部のバッティング音が聞こえる。
部活中や居残ってる生徒達の声も微かに耳に入る。
あたしは先生とゆったりとした時間を過ごしながら、椿と話していたことを聞いてみることにした。
「……ねぇ先生」
「ん?」
「あの……あたしと先生って今、付き合ってるよね?」
先生はあたしを見上げていた目を見開いて、すぐに顔を背ける。笑いを堪えきれない時、先生はいつもそうするんだ。
「真面目に聞いてるんだけど……!」
怒ったら負けだとか意味の分からないことを自分に言い聞かせて、あたしは先生がククッと笑うのを見下ろした。
「ははっ! 何でいきなり?」
「……椿に聞かれて、そういえばそういう会話しなかったなって」
「あぁ、なるほど」
そう言いながら、先生は前に立つあたしの両手を下から持ち上げた。
4本の指を先生が優しく握って、上下に揺らす。
「じゃあ、改めて言うよ」
「……」
あたしを見上げた瞳は表情がころころ変わるみたいに、瞬間的にガラリと変わった。
それが時に、瞳の色さえ変わったような気にさせる。



