世界を敵にまわしても



ずっと何も変わらないと思ってた。逃げずに頑張ることを、いつの間にか忘れてた。


先生に出逢ったから、あたしは自分らしく生きられるようになったんだもん。


そのおかげで、幸せなことがたくさんあった。辛いことも、苦しいことも同じくらいあったけど。


どん底まで落ちないと、わからない気持ちだってある。迷わなければ、自分の答えにたどり着けない時もある。


乗り越えて、糧にすることができたら。思い出にして、背負って生きていけたら。


頑張る勇気に、負けない自分になる。


何も無駄なんかじゃないんだって、先生と出逢ったから、知ることができたんだよ。


今の自分があるのは。

あなたが、あたしを見つけてくれたから。



「……自分勝手で、ごめん。振り回して、傷付けて、たくさん泣かせて……ごめんね、美月」


ふるふると左右に首を振った。その度に涙がこぼれて、嗚咽がこらえきれなくて。


先生が微笑むから、込み上げる熱を抑えきれない。



「待っててくれて、ありがとう」


そう言われた瞬間、先生に抱き付いた。


何よりも待ち望んだこの瞬間。離れていた分を埋めるように強く、強く、先生を抱き締めた。


あたしも、抱き締められていたけど。それ以上にもっと、抱き締めた。


苦しいって言っても、離してあげない。


この瞬間が永遠だと心に刻むまで、あたしを抱き締めていて。