世界を敵にまわしても




人気のない外廊下で晴と向き合って、数秒。あたしは意をけっして口を開いた。


「晴っ、あの……!」

「あ―――!! やっぱ言わなくていい! 分かってる! 改めて言われるとキツイかも!」


晴はあたしの前に手を出して、ブンブンと首を振る。


「……ゴメン」


そう言うしかなくて、あたしは軽く頭を下げた。


「いいってほんと! そういうのいいから!」


頭を上げると、晴は焦った顔から眉を下げて笑う。


……ほんとにあたし、バカだな。


こんなにいい人に好かれて、断るなんて。


「……昨日、泣いた?」

「え? あ……ちょっとだけ」


瞼は腫れてないはずだけど、やっぱり晴はそういうことに敏感なのかな。


「昨日ね……家の前に先生がいたんだ」


目を大きく開いた晴に、あたしは椿と同じように話した。


こんなの逆に、晴には迷惑かもしれないけど。ちゃんと、話しておきたかった。


ずっと応援してくれたから、最後まで見ていてほしくて。