世界を敵にまわしても

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――――――…


「諦めねぇとか……正気?」


次の日。教室のベランダに座って、あたしは椿に昨日のことを話していた。


椿は読んでいた雑誌を閉じて、怪訝そうにあたしを見る。


「でも、あたしは待つ側だもん」

「アイツが迎えに来る確証なんてねぇじゃん」


まぁ、そうだけど。一体いつになるのって感じだけど。


「信じることにしたから、いいの」

「アイツのどこに信じる価値が」


ハンッ!と鼻で笑う椿の腕を思い切り叩くと、「イテェな」って言いながら椿は笑った。


「まぁ美月がそれでいいなら、ウチはいいけど。アイツはあと5発くらい殴りてぇな」

「殴り過ぎだよね」


5発も殴ったら、先生気絶するんじゃない?弱そうだし。


「――で?」

「え?」


椿は再び雑誌を手にとり、読み始めた。


「アイツのことは分かったけど、晴はどーすんの?」

「放課後に呼び出そうかと」

「フッ……可哀相に」

「……椿って晴にドライだよね」


「普通じゃん」と言う椿が雑誌を捲る音を聞きながら、あたしは空を見上げる。


先生のこと、信じるって決めた。待ってるって、伝えた。


それでもしダメでも、あたしは後悔しないと思う。


今まで十分伝えたし、あれ以上伝えることもなかった。



あとは……晴のことだけ。