世界を敵にまわしても



「宮本に告白でもされた?」


困ったように笑ったり、寂しそうな顔でも悲しそうな顔でもなかった。


真面目な顔というより、怒ってるとか、気に食わないとか。そんな感情に近い表情をして、先生は言った。


淡々と、だけどよく耳に届く声で。


「……ちょっと待ってよ、先生……」



それを聞きに、ここまで来たっていうの?


そんなの、晴にヤキモチ妬いたんだって思っちゃうのに。


あたしが晴と付き合うんじゃないかって、心配で来たのかって思っちゃうんだよ。


まだあたしのこと……好きなのかって。


――乱される。


心の奥底から、何もかもひっくり返される気分。


やめてよもう。

期待するあたしが悪いの?だって先生から逢いに来たんじゃん。


期待するなという方が無理なのに、先生は好きだとも抱き締めてもくれない。


ただ、晴の名前だけを出すなんて。


「何がしたいのか分かんない……っ!」


全然、これっぽちも。


分からないから悲しい。
分からないから苛立つ。


涙目で睨み上げると、先生は数秒見返して目を逸らした。


それできっとまた、背中を向ける。だからその前に、先生の腕を掴んだ。


「……」


再びあたしを見た無言の先生に口を開きかけてから、一度閉じる。