その日の放課後まで、晴は何でもないような顔をして普通に接してくれたけど、やっぱりどこか悲しげだった。
――昇降口に戻った頃にはもう先生はいなくて、教室に戻ると菊池さんにアレコレ問い質されたりして。
それを椿が追い払ってくれたけど、椿は何も聞いてこなかった。
「……はぁ」
駅から家に帰る途中で溜め息が漏れる。
何だか今日は凄い日だった。凄いというか、バタバタしてた。
昼間に先生が学校にくるし、普通に微笑まれたし、そこから晴に連れ出されるし、二度目の告白をされたし……キスされそうになった。
思い出すだけで目眩がしそう。
……だけど、晴が普通に接してくれて良かった。
晴とは友達でいたいから、ギクシャクするのは嫌だ。
そう思うあたしは、ズルイのかな。晴の気持ちとか、もっとちゃんと考えなきゃいけないのかな。
あんなに想いを伝えてくれた晴に、先生が好きなのって言ったことに後悔はしてないけど。
……自分が立ち止まってるようで、みっともなくなった。
「……」
携帯を開いて、時刻を確認する。まだ6時過ぎだ。
家に帰って、着替えて……先生の家に行こう。
まだ零さんの家にいるようだったら、零さんの家にも行こう。
いい加減、ふんぎりをつけなきゃいけない。



