世界を敵にまわしても



「美月、もうボロボロじゃん……!」


顔を上げた晴とちゃんと目が合って、あたしは微笑んだ。


その表情とか言葉に、涙が落ちたけど。笑おうって思った。


あたしには笑っててほしいって、晴が告白してくれる前に言ってたから。


――本当に好かれてると、分かる。


好きで、大切だって想いが伝わる。


クラスで、学校中で人気者の晴があたしを好きだなんて。


嬉しいのに、本当に嬉しいのに、応えられない。


「……ボロボロでも、傷だらけでも、すぐ癒えるよ」

「……」

「晴と椿と、菊池さんとかヨッシーとか。みんながいるから、あたしはまだココにいれるし、立ってられるの」


1人だったら、きっと頑張れなかった。


みんながいたから、諦めなかった。



「ゴメン、晴」


晴の揺らぐ瞳を見てもう一度ゴメンと心の中で謝りながら、あたしは口を開く。


優しくて、明るくて。自分を飾らない、等身大の晴が好きだよ。


だけど。


「先生が好きなの」


他の誰でもない、あの人だけが。