世界を敵にまわしても



「先生の居場所を教えて」


強く、ハッキリとそう言った。


嫌だ。先生が、零さんとヨリを戻すかもしれないなんて。考えたくもないし、信じない。


「不平等ね。今度はアタシが質問する番でしょ?」

「……っどうぞ」

「さすが、物分かりがいいのね。真面目な子は好きよ」


あなたに好かれても嬉しくないとか、色々な言葉を呑みこんであたしはグラスに手を伸ばす。気付けば、喉がカラカラだった。


「キスはした?」

「ゴホッ! ゲホッ……な……っ!」

「ヤダ。してないの? あのソウが?」


予想もしなかった質問に咳き込む間、耳へと入った言葉はあたしを物凄く嫌な気分にさせる。


「へぇ……そうなんだ。あのソウがねー」


二度も言わないでほしい。


昔の先生がどうだったのかなんて知らないし、むしろ零さんと同じであってほしくない。


「ソウって、唇以外にキスするの好きよね?」

「……知りません」


軽く咳き込んでナプキンで口を拭うと、零さんは口の端を上げる。


あたしは唇以外の場所にしか先生にキスされたことがないって、見抜かれてるみたいで腹立たしい。