「単刀直入に聞きますけど……」
スタッフがジンジャエールらしきものをあたしのグラスに注いで、前菜があたしと零さんの前に置かれた。
まさかフルコースでも頼んでいたんだろうかと思ったけど、下がっていったスタッフも見ずあたしは零さんだけを視界にとらえて口を開く。
「先生がどこにいるか、知ってますか?」
零さんはワインを一口飲んで、グラスについたルージュを親指でサッと拭うと口の端を上げた。
「知ってるわよ? でも、教えてあげない」
「……」
黒目がちな瞳は先生と似ているのに、零さんのそれは理智的でひどく冷たく、驕慢な光を射出す。
零さんにとってあたしは、邪魔者なんだろう。
邪魔者だということは、零さんは先生と会える状況にあって。あたしは……。
「居場所以外なら、何でも教えてあげるわよ?」
……ひどく意地悪い人だと思った。あたしが1番教えてほしいことはダメで、他は何でもいいなんて。
でも、何とかして聞き出そうとするくらいの根気はあたしにだってある。
「先生は今、何してるんですか」
「アタシと会ってる時以外のことは知らない」
グサリと胸に突き刺さる零さんの言葉は、まるで研ぎ澄まされたナイフだ。
苦痛に顔を歪めるあたしとは違って、零さんは最初からずっと変わらず微笑んでいる。それが、堪らなく悔しかった。



