世界を敵にまわしても

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街中にある、いかにもお金持ちが泊まりそうな高級ホテルのレストラン。


あたしはその一角に、ひとり座っていた。


晴に渡されたメモには、この場所にPM:8:30と書かれていただけで、零さんが書いたんだとすぐに分かった。


晴が言うには、高城美月が会いたがってると伝えたらアッサリ承諾したらしい。


今度、晴の両親にも何かお礼しなきゃな……。


丸いテーブルの上には白い布が掛けられて、カトラリー類が既に置かれている。


右側には見下ろすのも怖い高さから展望できる夜景。


……先生も、こんなところで食事するような人だったのかな。


想像がつかない。デートで初めて行ったあの小さな和食屋さんの方がしっくりくる。


あぁでも、あそこは零さんとも利用してたんだっけ。


そう思うと、零さんがここを指定してきたのが嫌味のように感じた。



「怖じ気づくかと思ったのに来たのね。立派だわ」


グラスにぼんやりと映った人影に、ゆっくりと振り向く。見上げた先には、やっぱりあたしと顔の似ている零さんが立っていた。


「それに、あの日と同じドレスかと思ったのに。違うのね」


零さんは言いながら、スタッフが引いた椅子に腰掛ける。