世界を敵にまわしても



「ウチと晴の携帯使っても出ねぇしよ」

「知らない番号だから、気付いてるんだよ」

「っはー! ウゼー!」


椿が道端で叫ぶから、通行人の視線が痛い。


……まぁ、しょうがないか。


もう今日で3回先生の家に行ったのに、一度も逢えないんじゃあたしでもむしゃくしゃする。



後夜祭で花火が打ち上がる中あたしは泣き喚いて、散々泣いたけれど、やっぱり諦めることが出来なくて。椿は何も言わずに協力してくれた。


本当は、先生がどの辺りに住んでるかってことしか知らなかったのに。


椿が任せろって言って、10分の休み時間のうちに先生の住所を調べてきたんだ。


あたしって本当に、知ってるようで先生のこと何も知らないんだなって落ち込んでる間に、いとも簡単に。


「……ほんと、どうやって住所調べてきたの?」

「優等生の美月には出来ねぇから、秘密」


こうやって、何回聞いても教えてくれない。


「椿は手癖が悪い」って晴が言っていたけど、納得出来るような、出来ないような。


「つーか、どうするよ。他になんか方法ねぇの?」


駅に向かう道のりで椿に問われて、あたしは一瞬考える。ジッとしていられないのは確かで、考えてる暇もない。


その間に先生がもっと遠くに行ってしまうかもしれない。


「……ないわけじゃ、ない」


あたしがほんの少し、あとちょっと、勇気を出せばの話だけど。