世界を敵にまわしても



だからきっと、忘れられない。いつまで経っても、どれだけの時間が過ぎても。


今の自分が、それを包む環境が、先生のおかげで見つけたものだと分かっているから。


忘れることが出来ないのなら、あたしはどこまでも追い掛ける。



あたしはその場その場の感情に動かされる、至極単純な人間だから。そう、とても単純で、シンプル。


傷付きたくないと思ったら自己防衛に入るし、怒りに任せて誰かを傷付けることも容易いと思う。


楽しいと思えば心から笑うし、悲しいと思ったら声を上げて泣く。


そう気付かされただけじゃなく、人の優しさだとか温かさだとか、誰かを守りたいと思う気持ちを、あたしは恋をして知った。


素直じゃないし、頑固で意地っ張りで強がりだけど。諦めも悪いってことを、先生は知ってるかな。




「連絡も取れねぇ、家にもいねーって。そろそろ殴りてぇな」

「……椿って血の気多いよね」


放課後、あたしは先生の家の近くを椿と歩いていた。


先生が学校を辞めてから数日経った頃、あたしと椿は先生の家を付き止めて逢いに行ったんだけど。今日と同じように不在だった。