世界を敵にまわしても



「何なに、なんか楽しそうじゃんっ」

「2人がいじめてくるんですけど!」

「菊池は今日もすげー髪だなー。いつも何分掛かってんの?」


あたしが座る席の隣の机に腰掛けた晴に、菊池さんは「30分くらーい」と甘えた声を出す。


「マジで!? 俺なんか寝癖のままだわー」

「え、そうなの?」


あたしが驚いて言うと、そんなことも知らないの?という優越感を覗かせた菊池さんの視線を感じた。


「女子は大変だなー」

「おら、終わったぞ」


ベシッと菊池さんの頭を叩いた椿は、コテを机に置いて疲れたというように首を鳴らす。


「ありがとー黒沢っ! どう、大丈夫?」

「うん、大丈夫」


あたしに頭の後ろを向けていた菊池さんは満足げに笑顔を見せてから、鏡を覗いた。


晴が近くにいるから、メイクが気になるんだろう。


「はー疲れた。1限って何」

「化学だろー?」

「げーっ! マジ最悪ぅ」


3人の会話を耳に入れながら、あたしは携帯画面を見つめる。


先生に送った最後のメール。


それを一度だけ読んで、パチンと携帯を閉じた。