「……泣き腫らしてる目の方がいいの?」
「そっちのが全然マシ。クマ作って、昼飯も食わねぇで。今の美月、絡みづらい上に突っ込みにくいんだよ」
つまり何だ……慰めにくいってことかな。ていうか今のあたしってどんな感じなのか分からない。
「虚栄張ってるように見える?」
「何ソレ。1人で立てますーって振る舞ってるけど、ちょっと押したらすぐ倒れそうな感じ」
「あぁ……」
そうかも、と思った。
多分それだ。あたしはあと一度でも先生のことで泣いたら、二度と立ち直れない気がするから泣かないんだ。
先生に別れを告げられた日に、苦しさは十分味わったから。
もうあんな想いはしたくない。
「まぁ簡単に逢えなくなったんじゃ、仕方ねぇかもだけど」
椿はそう言って、食器を下げに腰を上げる。その後ろ姿を見てから、あたしは本に視線を落とした。
簡単に逢えなくなったのは、噂とか、先生に別れを告げられたからだけじゃない。
幸か不幸か。タイミングが良いのか悪いのか。
先生はウチのクラスの担任代理から外された。入院していた担任が、復帰したから。
「……」
うつむきがちに頬杖をついて、小さく漏れた溜め息は音もなく宙に消える。



