世界を敵にまわしても



「電話だけでいいよ。たまに外で逢えるだけでいい。その時は椿に外見変えてもらうから……ねぇ、先生。そうすればもう噂なんて立たないよ」


訴えるように言うあたしに、先生は緩く首を振る。


「出来ると思う? 俺だけじゃないよ。美月もこれからずっと卒業するまで、それが続けられるの?」

「続けられるよ……!」


学校で話したくても、話せなくたって。他の生徒にヤキモチ妬いたって我慢する。


外でだって頻繁に逢えるわけないのだって分かってる。


逢いたい時に逢えないかもしれないけど、逢えても変装しなきゃいけないけど。


出来る。やってみせる。


「先生がいなくならないなら、何だって我慢する」


だから、辞めるなんて言わないで。



あたしの目に涙が浮かぶと、先生は苦しげな表情になる。それが何より嫌だった。


謝られてるようで、ダメだと言われてるようで。


「……俺は無理だよ」


こんな時ばかり、すぐに答えを出す。



「何でいつも諦めようとすんの!?」


頑張れるって思ってよ。
頑張ろうって言ってよ。


大丈夫だって。2人一緒なら、何でも乗り越えられるって。


「……俺は美月にも、そんな恋愛をさせたくない」



そんな言葉が聞きたいんじゃないって、気付いてよ。